top of page

酸素電極とはその名の通り、酸素の消費・生成を電流に変換して定量化する機械である。

これによって、酸素の消費(呼吸)と酸素の生成(光合成活性)を測定することができる。

直接的な酸素発生を測定するので、光合成の活性を測定するには極めて有効な手段である。

当研究室では、Hansatech Instruments製の酸素電極である温度制御付・液相酸素測定システム OXYT-1を使っている。この電極はクラーク型酸素電極と呼ばれている。光合成活性(溶存酸素濃度を含め)は、温度に敏感なので、温度制御は必須である。

 


I. 電極セットアップ
1. 電極を炭酸水素ナトリウムの粉と綿棒で擦り、きれいにする。MilliQで洗浄
2. タバコのフィルターペーパーを1/3に切る(1~1.5 cm四方)。電極に乗せ、飽和KCl溶液を垂らす。
3. 同じ大きさのメンブレンを上に乗せる。
4. メンブレンアプリケーターに小さいOリングをセットし、押し込むことでメンブレンをセットする。
5. 大きいOリングを上から固定する。
6. 本体にセットし、コードを接続する。メンブレンが乾かないように、MilliQを入れておく。


II. 測定方法
1. Oxygraphのソフトを立ち上げる。
2. 正しいポート番号を探す。分からないときは8個全て試す。
3. 温度をセットする。
4. キャリブレーションを行う。
i. MilliQを入れ、ピペットマンで懸濁して酸素を飽和させる。

ii. 電圧が安定したら、OKを押す。

iii. ジチオナイトを耳かき一杯分くらい入れる。多すぎると、電圧が安定しない。

iv. 電圧が安定したら、OKを押す。キャリブレーション終了。
5. 測定を行う。
「GO」のボタンを押すと測定スタート

培養液を入れ、ネジ蓋を締める。この時に、細い空間に少しだけ培養液が達するようにネジを締める。

まずDarkにして暗順応させるとともに、呼吸活性を測定する(例えば10分間測定し、最後の3分間の傾きを呼吸活性とする)。

光合成活性を測定する。 

 


光合成の全活性では、1 M NaHCO3をFinal 10 mMとなるように加えて測定する。光化学系IIの測定では、
光は光量子計を用いて光強度を測定する。全活性では1000μmol photons/m2sくらいで測定しているが、これは生物サンプルによる。光強度を変えて測定していくのがよい。 全活性は例えば7分間測定し、最後の3分間の傾きを光合成全活性としている。

酸素電極が光合成活性測定にもっとも重要であるべきなのだけれど(酸素の発生を直接測定するため)、実は使っている研究室は結構少ない。その理由が「液相ならば測定しやすいが、気相では測定しにくい」点である。

藻類のように液体で培養できるものならば良いが、植物の場合、気相で測定することが必要である。しかし、気相には 20%の酸素が含まれているため、20%の酸素の値を差し引いたからの変化を測定しなければならず、微量な変化を測定しずらい。このため、藻類ではよく使われるが、植物ではあまり広がっていないのが酸素電極の現状である。

光合成の測定は全般に難しい。ぜひ分野外の研究者でも測定できる簡便な機器が開発されることを願っている。

※プロトコールは必ず他の文献などでもご確認ください。

bottom of page